日々のこと

【奈良】第78回正倉院展へ|紅牙撥鏤碁子、虹龍、白瑠璃瓶を実際に見て

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奈良市にある奈良国立博物館で、2026年10月24日から11月9日まで開催されている第78回正倉院展に出かけてきました。

正倉院には、聖武天皇のご遺愛品を中心に、東大寺の法要や造営に関わる品、当時の暮らしを伝える文書など、約9,000件もの宝物が伝わっています。

その中から今年展示されているのは60件。そのうち11件は初出陳です。

これだけの数の宝物があるので、毎年正倉院展に通ったとしても、すべてを見ることができるのはいつになるのだろうと思うほど。

毎年何かしら目玉となる宝物があり、歴史の教科書で見たことのある品を実際に見ることができるのも、正倉院展の楽しみです。

昨年は、深い瑠璃色が美しい「瑠璃坏附 受座」を見ることができ、とても感激しました。

昨年、第77回正倉院展に出かけた時の記事はこちら

今年も時間指定制のチケットを取ることができたので、出かけてきました。

2026年11月上旬の記録です。

第78回正倉院展

私が予約したのは、平日の朝一番、午前8時の回です。

チケットを取ろうと思った時には、私が行ける平日はすでにかなり埋まっていて、朝8時か8時30分くらいしか残っていなかったように思います。

朝一番なら、その後の時間も有効に使えるので、午前8時の回にしました。

午前8時の少し前に奈良国立博物館に到着。

すでに8時入場の方がかなり並んでいて驚きました。

私も列の最後尾に並びます。

指定時間よりかなり早く到着しても入場列には並べないので、早く来た方は近くの無料休憩所で待つことができます。

その周辺には柿の葉寿司などを販売するブースもあり、すぐ近くには館外のショップもあります。

博物館の中のショップとはまた違った商品が並んでいるので、気になる方はこちらものぞいてみてもよいと思います。

私は博物館の中でもお土産を購入したのに、結局こちらでも追加で買ってしまいました。

無料休憩所のところにはコインロッカーもあります。

100円を入れて、利用後に返却されるタイプなので実質無料。

正倉院展の会場内はかなり混み合うので、大きな荷物がある場合はここで預けておくと見やすいと思います。

並んでいる間にチケットを確認してくださるのも合理的。

私はインターネットで購入したので、スマートフォンのQRコードを提示しました。

入場時にもう一度QRコードを読み取ってもらい、紙の入場券を受け取ります。

オーディオガイドなしで鑑賞

展示室内は写真撮影禁止です。

入場前の1階までは撮影できますが、この先は文字だけでご紹介します。

私が入館した頃には、オーディオガイドを借りる方の列もずらっとできていました。

オーディオガイドも気になったのですが、奈良国立博物館は展示の解説がかなり充実しています。

さらに、正倉院展の公式サイトには動画や子ども向けの解説もあります。2026年10月29日には、今年の見どころを約14分で紹介する公式動画も公開されました。

館外に置かれていた子ども向けの正倉院展特別版も分かりやすかったので、今回はオーディオガイドなしで見ることにしました。

漆胡瓶(しっこへい)

まず印象に残ったのが、今年の正倉院展を代表する宝物の一つ、漆胡瓶です。

高さ41.3cmの、ペルシア風の形をした水差しです。

一見すると金属でできているようにも見えるのですが、実は本体は木。

エックス線による調査で、薄い木の板を巻き上げるか輪状に積み重ね、その上に漆を塗って作られていることが分かっています。表面には銀の薄板を使って、草花や鹿、オシドリ、山などが細かく表現されています。

黒い漆の上に描かれた文様がとても華やか。

1300年近く前に、これだけ複雑なものを作る技術があったことにも驚きました。

紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)

今回、私が特に楽しみにしていたものの一つが紅牙撥鏤碁子です。

歴史の教科書などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。

象牙で作られた碁石で、象牙を赤く染めた後、その表面を彫ることで、染まっていない白い部分を出して模様を表現しています。

さらに緑色や黄色も加えられていて、描かれている鳥はヤツガシラと考えられています。

公式ホームページや動画で写真を見ていたので、実物を見るのを楽しみにしていました。

そして、実際に見てびっくり。

直径はわずか1.5〜1.7cm。

私の親指の爪くらいの大きさです。

写真では細かな模様が大きく紹介されているので、もう少し大きいものだと思っていました。

こんなに小さな象牙に鳥を彫り、その上に色まで加えている。

実物を見ると、その細かさがよく分かります。

小さな碁石がきらきらと並んでいる姿も本当に美しかったです。

虹龍(こうりゅう)

もう一つ、ぜひ見てみたかったのが虹龍です。

「虹」と「龍」と書いて、こうりゅう。

1429年、室町幕府第6代将軍の足利義教が正倉院で蘭奢待を切り取った際、「竜日干」を見たという記録が残っており、虹龍はそれに当たるのではないかと考えられています。

昔は「龍」として伝えられてきたものですが、その正体は動物のミイラです。

私が子どもの頃には、こうしたものは「正体不明」と紹介されていた記憶があります。

ところが、研究技術が進み、近年の調査でニホンテンの成獣で、雌の可能性が高いことが分かりました。

さらに、剥落した組織片を使って放射性炭素年代測定が行われ、11世紀中頃から12世紀中頃のものと推定されています。この研究結果は2025年に公表されました。

つまり、奈良時代から正倉院にいたわけではないことも分かってきました。

ただ、このテンが自分で宝庫に入り込んで自然にミイラになったのか、それともミイラになったものを「龍」として誰かが納めたのかは分かっていません。

昔から伝えられてきた「宝物」に、現代の科学を使って新しい事実が加わっていく。

こういうところも正倉院展の面白さだと思います。

鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいのほうきょう)

今回、実物を見て一番美しいと思ったのが、鳥獣花背方鏡です。

一辺17.1cm。

それほど大きな鏡ではありません。

中央には獅子の形をしたつまみがあり、その周囲には狻猊(さんげい)という獅子に似た霊獣、さらに鳥、蝶、蜂、葡萄唐草などが細かく表現されています。

私には、背中の骨が浮き出ているような、不思議な動物にも見えました。

それくらい一頭一頭の表現が細かく、見ていて飽きません。

白銅を鋳造して作られた鏡で、分析から唐から伝わった品と分かっているそうです。

1300年近い時間を経て、これだけ細かな模様が残っていることにも驚きました。

今回の展示の中では、私はこの鏡が一番印象に残りました。

正倉院古文書から見える奈良時代の暮らし

華やかな工芸品だけでなく、古文書も面白かったです。

今回展示されていた正倉院古文書正集 第九巻には、733年の平城京右京における徴税などの基本台帳「右京計帳」が含まれています。

家族の名前や年齢などが書かれた、現在でいう戸籍や税に関わる申告書のようなものです。

興味深かったのは、戸ごとに筆跡が違うこと。

右京計帳の「手実」は各戸が自ら書いた資料と考えられていて、平城京ではかなり広い層の人が文字を書けた可能性を示す資料でもあります。

奈良時代といえば、今から1300年近く前。

当時、税を納める側の人たちが自分たちで文字を書いていたと考えると驚きます。

もちろん平城京は当時の都なので、地方とは事情が違ったのかもしれません。

それでも、展示されている筆跡を見ると、教科書の中の「奈良時代」ではなく、実際に暮らしていた人たちの姿が少し身近になったように感じました。

白瑠璃瓶(はくるりのへい)

展覧会の最後に展示されていたのが、白瑠璃瓶。

透明なガラスで作られた水差しです。

高さ27.2cm。

少し緑色を帯びた透明なガラスで、下膨れの胴体に大きな取っ手が付いています。

こうした形は西アジアに由来し、この白瑠璃瓶も中近東の工房で作られたと考えられています。

1300年近い時を経ているにもかかわらず、ひびもなく、ガラスの曇りもほとんどないという保存状態。

砂の中から発掘されたものではなく、日本に伝わった後、長い間大切に保存されてきたガラスです。

イラン周辺から西アジア、中国などを経て日本へやってきたのだろうか。

遠い場所からはるばる伝わってきたガラスの水差しが、今も目の前にある。

それだけでも不思議な感じがしました。

1300年近く守り伝えられてきた宝物

今回も、正倉院展を見ながら何度も思ったのは、よくこれだけのものが現在まで残っているなということでした。

漆や木、象牙、紙、そしてガラス。

素材もさまざまです。

壊れやすいものも多いはずなのに、長い時間を超えて今の私たちが実物を見ることができます。

正倉院展そのものも、第1回が開催されたのは1946年。

2026年は第1回展から80年という節目の年です。

歴史の教科書で写真を見るだけでは分からない、大きさや質感、細かな文様。

そして、科学的な調査によって、昔は分からなかったことが少しずつ明らかになっていく面白さ。

今年も実際に見に来ることができてよかったです。

これからも、この大切な宝物を守りながら次の時代へ伝えていける日本であってほしいなと、改めて思いました。

正倉院展を見ていると、宝物そのものだけでなく、1300年近く守り伝えてきた仕組みにも興味がわきます。正倉院の保存や管理の舞台裏について知りたい方には、こんな本もあります。


今回のお土産

今回のお土産は

入り口で配布されていた読売新聞の特別版と紅牙撥鏤碁子グッズです

紅牙撥鏤碁子はいろんなグッズが販売されていましたが、心に残ったものを厳選してきました

下の段がお土産で、左から「ふきん」「マグネット×2」「マスキングテープ」です

これを見てはこの作品を見たことを思い出したいです

第78回正倉院展|奈良国立博物館

正倉院展 公式サイト

 

以上、ご参考になればうれしいです。

それでは。

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