人間、生きていく上で家族や自分が病気をしたり老いていく場面に直面します。
老いといっても、体力が衰えるだけでなく、認知症など記憶の面でも衰えていきます。
大切な家族が、老いや病気でこれまでの「家族」と異なる状況になったら・・・
自分は健康でも、それまでの生活は戻ってきません。
今回ご紹介するのは、そんな状況をユーモアも交えながら書いた2冊です。
もうあかんわ日記
こちらは2021年に出版された本。
書評欄で知り、興味を持って購入しました。
著者の岸田奈美さんは30歳代の女性。
ものを書くお仕事をしながら、テレビのコメンテーターもされているそうなので知っているかたもおられるかもしれません。
東京で働く著者には、地元神戸に認知症の祖母、大病を患って車いす生活の母、ダウン症の弟、がいます。
このお母さんが体調を崩してしまい、著者が東京から神戸に戻った段階でこの本は始まります。
当初はnoteというブログのようなサービスで日記として更新されたのがはじまりだったようです。
新型コロナウィルス感染症の拡大、お母さんの大手術、おばあさんの認知症の悪化、など様々なトラブルがやってきます。
この本を読んでいて感じたのは
- 大変な中でも、毎日は過ぎていく(何とかなる)
- 書くということは、自分を癒すことにもつながる
ということです。
もともとものを書くお仕事をされているためか、大変な中でも自分の状況に関西でいうところの「つっこむ」という俯瞰的な視点があったり、書く中でご自身の感情を整理していかれているように思いました。
ご自身でも、noteに書いていたから乗り越えられた、ようなことを書いておられました。
最後には、救いもある(詳細はネタバレになるから控えます)この本。
1章ごとは短いので、気軽によめますよ。おすすめです。
ペコロスの母に会いに行く
マンガ家の岡野雄一さんが認知症のお母さんとの日々を、マンガも交えてつづったエッセーです。
続編もあって、2冊とも購入して読みました。
すこし前に出版された本で、映画にもなりました。
故郷で一人で暮らすお母さんが認知症になったことをきっかけに、実家に戻って暮らすことになった男性とお母さんの日々が優しくつづられています。
読んでいて、泣ける泣ける。
くすっと笑える場面もあるのですが、私としては泣ける本、という印象が強いです。
紙の本だったので、知り合いに「ぜひ読んで」と渡して読んでもらったくらい。
この本を読んで感じるのは、今の時間の大切さ、です。
自分も含めて確実に時間は流れ老いていきます。
時間が流れることが「成長」だったはずなのに、いつの段階からか「老い」「別れ」に目が行くようになってしまうのですね。
でも悲しいことばかりではなくて、だからこそこれまでの思い出が大事であること、これからの時間をいかに過ごすか、に目が向くのだと思います。
認知症のご家族と過ごしている人にも、そうでない人にも多くの人に読んでもらいたい本だと思いました。
以上、これからの時間を大切に生きるきっかけにもなりそうな本2冊をご紹介しました。
ご参考になればうれしいです。それでは。