2023年から2024年の年末年始にエジプトに旅行に行ってきました。
前回は旅行7日目、2024年1月2日帰りのエミレーツ航空のビジネスクラスの食事やラウンジの様子をご紹介しました
https://parallel-careers.com/day7_4:/10098/
今回、離陸前に急に体調を崩した人がいてその対応をしました。
旅行者としても旅行をする医療従事者としても参考になると思うのでご紹介します。
離陸前でよかった!急病人発生
自分の席について、あらかじめスマホにダウンロードしたYoutubeを聞いていた時のことです。
私の席からは、左後方のあたりでざわざわとしだしました、しばらくしてそれは落ち着いたの私はそちらを振り向くこともなく、ぼんやりしていました。
すると再び「大丈夫ですか?」という声が
「CAさん呼んできて」という声が聞こえたので、体調不良の人が出たのだな、とわかりました。
以前に出会った体調不良の人は飲酒関連
以前も機内で体調不良の人が出て機内アナウンスがあり、その場にかけつけたことがありました。
機内で飲酒をした男性がトイレに行こうとして気持ちが悪くなり、一瞬意識を失いかけた、というものでした。
その時は私のほかにもう一人日本人の男性医師がいて私はあまり役に立たなかったので、今回出ていくかどうか迷いましたが、人手が足りなさそうだったので出ていくことにしました。
機内で救護活動、その時どうした?
よいしょと席を立って向かったわけですが、その時の名がです
まずはCAさんにご挨拶
いきなり行っても、小柄な童顔日本人女性だと「本当に医者?」と思われかねません
まず、CAさんに「私は医師ですけど、お手伝いできることありますか?」と言いました
いろんな人が集まる場ですが、客席での安全管理をされるのはCAさんなのでまずCAさんにご挨拶しました。
災害対応でも言われる、Command and Controlを意識しました
ライセンスカードを聞かれます
CAさんからライセンスカードがあるか?と聞かれました
日本医師会が医師カードを有料で発行しています。
私はあいにくそのカードを持ってはいないのですが、ほかの形で顔写真+名前+医師と書かれたお役所が発行したカードを持っていました。それと、今の所属の名刺を合わせて見せたところ、「どうぞお願いします」となりました。
患者さんの状況
患者さんは見た目40歳代後半から50歳代前半の日本人女性でした
通路に横たわっていて、CAさんが足を挙上していました。
ご家族での旅行で、ご主人が医師、娘さんが看護師という状況でした。
ご家族が医療従事者でしたので、患者さんの状況を質問したり説明するのがスムーズで助かりました。
状況をまとめると
- 旅行の終盤でもあり、疲れていて、あまり水分もとっていなかった
- お手洗いに行こうとして立ち上がったら、気分が悪くなりふらついた。
- 立ち止まったら少し気分が回復したので、もう一度お手洗いに行こうとしたが再び気分が悪くなって倒れてしまった。
- 経過中の意識はある、胸痛や呼吸困難はない。
ということでした。
その後の経過
診察上は麻痺もなく、顔色も最初は悪かったですが次第に改善してきました。
座って水分をとることもできます。
この状況から「起立性低血圧」の可能性が高いと考えました。
他にも除外をしないといけない、緊急性の高い病気はいくつかありますが、飛行機の中では検査はできません。
マニキュアが・・・
飛行機の中には酸素飽和度を測定する器具はありましたが、患者さんは濃い色のマニュキアを手足の爪にしていました。
測定した値も95%(正常は97以上)なので、問題がないとはいえません・・・
CAさんが除光液を持ってきてくれましたが、うまくマニュキアをとることはできず困りました。
病院では耳につけて測定する器具がありますが、こういうときにマニュキアを塗っていて、しかも表示される酸素飽和度が正常値でないと悩ましいな、と思いました。
この間20分ほどでしょうか。
その後どうなった?
日本語が話すことができるCAさんがいたので、その人に状況や必要な物品とかを伝え、彼女が他のCAさんに指示をしてくれました。
そうこうするうちに、CAさんの責任者の方が登場。
空港の医療班に患者さんを引き継ぐことになりました。
もうこの時点では患者さんはだいぶ回復していて、「大丈夫だし、お手洗いに行きたい」とい言っていました。
気持ちもわかりますが、このあと10時間近いフライトがあります
空の上で意識を失われたらたまったものじゃないから、飛行機から降りてもらって診察をうけさせる、という航空会社の判断も「そりゃそうやろうな」と思いました。
海外旅行の時は保険をかけよう
余談ですが、CAさんが患者さんに接したときの第一声は
「保険には入ってますか?」だったそう
シビアだなぁ。
まぁ、私たちも日本で診察するときは保険に入っているかどうかは確認しますが・・・
ご家族も・・・
患者さんと家族は荷物を持って飛行機からおりました。
そのあとCAさんが持ち主不明の荷物がないか、と機内を確認してようやく飛行機が離陸しました。
そのあと、患者さんが空港の医療施設でどういう診察・検査を受けたのか、別の病院に行ったのかはわかりません。
また、機内の持ち込み手荷物は持ち出すことができたと思いますが、預けた荷物は持ち出せなかったと思います(患者さん・家族が飛行機を降りてから飛び立つまでの時間は短かったです)
帰国便だったとしても持ち込みの手荷物として、最低限の医薬品・化粧品・着替えは持っていたほうがいいな、と思いました
飛行機トラブルで帰国が遅れた経験・・・
私は以前、カナダのイエローナイフからバンクーバーに行く飛行機が飛ばず
なぜかイエローナーフ→トロント(1泊)→日本という経路で帰国したことがあります
その時は着替えや化粧品の多くをスーツケースの中にいれていました。
スーツケースはイエローナーフ→バンクーバー→日本 という形で帰ってしまったため
夏のトロントで着替えがない、歯ブラシもない、という状況でつらかったです
それ以降、たとえ帰国便でも1日分の着替えと常備薬、洗面セットなどは持つようにしています
お手伝いをしたお礼はアメニティキット
「患者さん対応のお礼」はビジネスクラスのアメニティキット 男性用×1 女性用×1でした。ありがたいけれど、
いただいたものも少しずつ使わせてもらっています
今回のことで感じたことのまとめ
- 旅行中はできるだけ疲れをためないように。
- お手洗いに行くのが面倒でも、水分摂取はしっかりと
- 海外旅行保険には入っておこう
- 機内持ち込み手荷物には、1日2日は凌げる常備薬・着替えを入れておこう
- 医師カードを持っていないと「お医者様はいらっしゃいますか」で手を挙げても断られるかも
です。
以上、ご参考になればうれしいです。
それでは。
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