京都は南座で開催されている、2021年の吉例顔見世興行に出かけました。
それで歌舞伎への思いがあふれて、歌舞伎関係の記事を投稿しているわけです^_^;
第1部(午前の部)は坂田藤十郎さんの追悼公演。
坂田藤十郎さんが得意とした演目が上演されました。
歌舞伎の演目は江戸時代に作られたものも多く、今の感覚では「???」となるものもあります。
昔の感覚に突っ込みを入れると同時に、今の時代に生きることのありがたみを感じます。
今回は、21世紀的目線での歌舞伎鑑賞、ということで曾根崎心中を特に取り上げます。
曽根崎心中
近松門左衛門が文楽のために脚本を書いたこのお話、文楽で初演されたら大人気となったそう。
「心中もの」ということで日本史の授業で聞いた方もおられるのではないでしょうか?
曽根崎心中のあらすじ
場所は大阪。
叔父(兼上司)から結婚を勧められたけれど、恋人がいる主人公。
叔父に返さないといけないお金を知人に貸したら踏み倒され、しかも身に覚えのない罪をきせられた。
これではもう生きていけない、と思い恋人と心中した。
という身も蓋もないお話。
心中する直前に、主人公の身の潔白が示され、「え、主人公悪くないやん!」となっているときに恋人の書置き発見。
「早くしないと心中しちゃう、探さな」となってるところで、主人公たちが心中しちゃう、というのもなんともせつない物語です。
夜の部でこの演目を見て、そかもそれが最後の演目だと帰り道はしんみりしちゃいます。
その一方で、北新地や、曽根崎など関西で暮らす私にはなじみのある地名がでてきます。
いまでは飲み屋さんがいっぱいな曽根崎が、昔はこんな森だったの?と思う舞台装置など、昔に思いをはせることもできますよ。
21世紀的目線での感想
21世紀に生きる私としては・・・
- え、どうしてトラブルがあった初日に心中?もう少し待ったら変わるかもしれないのに。
- 主人公25歳、恋人19歳、若すぎる!(最後で年齢出てきて、え!?となる)
- 後に残された人たち、もっと頑張って探そうよ!
など舞台とわかっていても、登場人物たちに声をかけたくなるポイントがいっぱい。
舞台なので冷静に見ることができますが、当事者(しかも昔の価値観)では「もう終わりだ」と思ってしまうのかもしれないな、とも思います。
主人公が濡れ衣を着せられてその噂が広まる様子は、誤解されたままの情報SNSで拡散されることにも似ています。
私はこの演目を見るたびに、「つらいことがあっても、少しは様子を見よう。命を大切にしよう」と思わされます。
昔から演じ続けられる演目には、それなりにみなさんの心に残るポイントがあるのだと思います。
ぜひ、「えー古い物語じゃないの?」と思わず、ご自身の感性でこの曾根崎心中を楽しんでくださいね。
中村鴈治郎さん&扇雀さんコンビでの曾根崎心中
今回の上演では、主人公と恋人を坂田藤十郎さんのご子息である中村鴈治郎さん&扇雀さんが演じられました。
鴈治郎さんの主人公徳兵衛役は何度か拝見したことがありましたが、今回は特に指先や首のふりかたなどいろいろなところでお父様の坂田藤十郎さんを思い出すところがありました。
扇雀さんの恋人お初は初めて拝見するかもしれません。いままでみたお初の中で一番「しっかりしてはる」という感じがしました。
これからこのコンビでの曾根崎心中を何度か観ることになると思うので、楽しみにしています。
歌舞伎公式ホームページによる曽根崎心中の演目紹介はこちらです。
そのほか顔見世第1部で気になったポイント
そのほかの演目や役者さんなど、第1部で気になったところを勝手にご紹介します。
中村壱太郎さんの晒三番叟
第1部では、曽根崎心中のまえに、「晒三番叟」が上演されました。
今回の演目では晒を両手にもって踊る演目です。
真ん中の女性を中村壱太郎さんが演じます。
壱太郎さんは、その昔松竹座の京人形で、扉が開いて飛び出す様子に「はっ」とさせられて以来のファンです。
男性が演じておられるのに、かわいらしくて自分を反省することもしばしば・・・
今回の演目はかなり腕に負担になると思いますが、涼しい顔をして踊っておられる様子と、袂からのぞく腕にぐっときました(マニアックですいません)
中村壱太郎さんの情報はこちら。
中村梅玉さんの声
中村梅玉さんは、よく関西にも来てくださる人気の歌舞伎役者さんです。
お声が素敵で、「やさしいけど芯のある男性」を演じられるとぴったりやなぁ、と思っています。
特に、口上の時のお声が通って、特に素敵です。
その梅玉さんのお声が、声がいつもよりも小さく聞こえたのが気になりました。
風邪か、体調不良かはわかりませんが、お大事になさってください。
中村梅玉さんの情報はこちら。
2021年顔見世興行の情報はこちらです
以上、ご参考になればうれしいです。
それでは。