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危ない消化管異物って?

小さいお子さんは、なんでも手にして、なんでも口に持っていきますよね。常に周りの人が見はっておくこともできないし、気が付かないうちに飲み込んでしまうこともあります。

小さいお子さんにはつきものの「異物誤飲」その対処法についてまとめます。基本的に小児を対象としているので、大人では異なる点もあるのでご了承ください。

消化管異物とは

食べ物ではない、消化されないものが飲み込むなどして消化管の中に入った状態が「消化管異物」です。

多くは4~6日で消化管を通過するといわれていて1)、内視鏡で除去する必要があったのは1~2割、手術まで必要となるのは1%という報告もあります2)。

危ない消化管異物

その1:大きいもの

その2:とがっているもの

その3:磁石

その4:ボタン電池

その5:食道異物

ではそれぞれ具体的に見ていきましょう。

危ない異物その1:大きいもの

長さ6㎝以上・直径2.5㎝以上:胃の幽門を通過できないという報告があり3)摘出術が考慮されます。長さ6㎝以上は成人でも24時間以内の摘出術が考慮されます。

2~4週間で胃を通過できない:経過観察をしても胃を通過できない場合は摘出術が考慮されます4)。

危ない異物その2:とがっているもの

とがっているものの例:魚骨、ピン、つまようじなど・・・

こういうピンは要注意

多くは消化管を無事に通過するといわれていますが、まれに消化管穿孔や膿瘍、心臓や肺・肝臓への迷入などの重篤な合併症をきたすという報告もあります3)。

とがっている異物が食道にあったり、痛みなどの症状がある時:内視鏡での摘出術が検討されます3)。

とはいえ、これらの異物を見つける方法は難しく、単純レントゲンの感度はガラス43%、魚骨26%、つまようじは9%・・・4)

単純CT検査でもつまようじの感度は40%程度という報告があります。

そのため、これらとがった異物による誤飲が疑われる場合は、画像検査で特定できなくても内視鏡検査を行うよう推奨されています4)。

危ない異物その3:磁石

磁石というと理科の授業で使うものを思い浮かべるかもしれません。健康器具として市販されているものには磁石が入っているものもあり、小さいため誤飲をする恐れがあります。

磁石が怖いのは、複数誤飲していたり、ほかの金属と誤飲していると磁力でひきよせられて瘻孔形成、腸穿孔や腸閉塞、軸捻転などの合併症の恐れがあることです4)。

そのため・・・

複数、ほかの金属との同時誤飲:緊急~準緊急で摘出術を考慮

単数:2方向のレントゲンで1つのみであることを確認し、追加で誤飲することがないよう磁石や金属を周辺から排除するなどして経過を観察します。

危ない異物その4:ボタン電池

様々な電子機器に使われている「ボタン電池」、特に近年多くみられるリチウム電池は高電圧であるため誤飲した際の合併症が重篤と言われています。

食道にあるとき:2~2.5時間で重篤な粘膜障害が発生し、食堂穿孔や食堂大動脈瘻などの重篤な合併症のリスクがあります。緊急手術の適応となります4)。

胃の中にあるとき:欧米では多くの場合経過観察されます(5歳未満かつ直径2㎝以上では摘出を考慮)4)。日本では摘出術を選択されることが多いようです。

National Battery Ingestion Hotline(NBIH)のガイドラインでは重症化の最大リスク因子が電池の直径で、直径2㎝以上は胃内にあっても慎重な経過観察が必要とされています5)。

危ない異物その5:食道異物

異物の種類によらず、食道にある異物は要注意です。

なぜなら、食道はほかの消化管ほど筋肉が厚くなく、食道穿孔、大動脈・気管食道瘻孔、縦隔炎などの合併症を起こすリスクが高いからです。

その症状も、急性発症の嚥下障害、流延、咽頭痛、嘔吐、と特異的なものはなくたとえ食道に異物があったとしても54%は異物を飲んだ瞬間のみの症状だったという報告もあります6)。

そのため、異物誤飲を疑うエピソードがあれば、無症状でも単純レントゲン検査を行うことが重要といわれています3)。

参考書籍

〇一般の方にはこういう本が分かりやすいかもしれません。比較的新しいです。


〇昔からある本ですが、本当に便利。消化管異物についても記載があります。


以上、ご参考になると嬉しいです。それでは。

<参考文献>

1)Gastrointest Endosc. 2011; 73(6):1085-91

2)Gastrointest Endosc. 1995; 41:39-51

3)J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2017; 64(1):133-153

4)J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2015; 60(4):562-574

5)Pediatrics. 2010; 125:1168-1177

6)Eur J Pediatr. 2001; 160(8):468

 

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