中耳炎は3歳までに80%、6歳までに40%の子供が3回以上り患するといわれる、ありふれた病気です。私も良くかかってました。
今回は、その子供によくある中耳炎について解説します。
<中耳炎ってどんな病気?>
ウィルスが咽頭から時間にかけて炎症を起こし、細菌が付く
→粘液産生増加し排出機能も低下
→耳管が閉鎖し、中耳にも液体が貯留し陰圧になる
→何かの拍子に時間が開くと、耳管にあった細菌が中耳に入る
→中耳炎発症 という経緯で起こる病気です。
3歳未満お子さんが上気道炎になった時、その37%は急性中耳炎と言われています1)。
急性上気道炎、以前急性中耳炎の既往がある人は急性中耳炎のリスクが高いといわれています2)。
症状としては、耳痛、と考えがちですが、急性中耳炎で耳痛を訴えるのは50~60%といわれています。症状で判断するのは難しいです3)。
急性中耳炎をそのままほおっておくと
難聴や乳突蜂巣炎・迷路炎、顔面神経麻痺などに発展する恐れがあるので、適切に診断をする必要があります4)。
<診断は?>
アメリカの診断ガイドラインであるAPPガイドラインは以下の診断基準があります3)。
鼓膜の膨隆は特に急性中耳炎に対して特異度が高い所見と言われています。気道感染症を疑うお子さんを診察するときは、耳の診察を忘れない様にしたいですね。
<治療は?>
急性中耳炎は多くの場合自然に経過します。2歳以上では2歳以下よりも治りにくく、両側は片側よりも治りにくいといわれています5)。
また、耳漏があると抗菌薬治療が必要となることが多いといわれています。抗菌薬治療のNNT(Number Needed to Treat)は耳漏無で8、耳漏有で3でした6)。
以上を踏まえて、アメリカの診断では以下のように示されています3)。
〇どの抗菌薬を使うといいの?
感染症治療では原因菌によって用いる抗菌薬は変わってきます。
急性中耳炎の原因菌としては、P.pneumoniae 20~50%, H.influenzae 15~30%, M. catarrhalis 5~20%と言われています7)。
最後のM. catarrhalisは多くの場合自然軽快します。前の二つの菌をターゲットとして治療を開始します。
日本では、菌の種類は薬剤への感受性などから
アモキシシリン 90mg/kg/day(高用量)
アモキシシリン/クラブラン酸 96.4mg/kg/day
が推奨されています。
〇治療期間は?
抗菌薬を使う場合の治療期間は・・・
2歳未満:10日
2~5歳:7~10日
6歳以上:5~7日
と言われています3)。
以上、中耳炎の診断と治療について解説をしました。
日本の小児急性中耳炎診断ガイドラインも参考になさってください。
<参考文献>
1)Clin Infect Dis Mar 15; 46(6):815-823
2)Plos One。2014;9(1):e86397
3)Pediatrics. 2013 Mar; 131(3):e964-99
4)Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases, 29, 216-223 e3
5)Pediatrics, 2007 1Mar; 119(3):579-85
6)Lancet. 2006 Oct 21; 368(9545):1429-35
7)Pediatr Rev. 2004 Jun; 25(6) 187-93