医療情報

あまり知られていない破傷風の話

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

破傷風って病気を聞いたことがありますか?

仕事柄、怪我をした方の処置をすることがあります。その時に話をして「え?」という顔をされることが多い破傷風についてお話をします。

破傷風とは

破傷風とは、Clostridium tetaniという細菌が感染しその毒素により神経系が侵される感染症です。患者さんの約7割で何らかの怪我がありますが、怪我がなくても病気になる患者さんも約3割います。

症状は、怪我をした周辺の筋肉や、顎・項部のこわばり、寝汗などで、ひどくなるとけいれんや自律神経障害を呈し、入院の上治療を行います。日本でも年間100人前後発症し、5~10人亡くなっていると報告されています1)。

怪我が衣服で隠れて見えないこともあります。「最近怪我をしました」という話から診断に結び付くこともあります。

ガーデニングは楽しいけど・・・

 

あなたは免疫を持ってる?

幼いころに打つ三種混合ワクチン(DPT)に破傷風を予防する「破傷風トキソイド」が含まれています。DPTが定期接種となった1968年以前に生まれた人は、ワクチンを打っていない可能性が高いので注意が必要です。

また、ワクチンを打って時間がたつと、その効果が低下することが知られています。免疫を持っている人は、40歳~50歳では約25%、60歳以上では約11%という報告があります1)。

けがをしたときには破傷風のことも思いだして

破傷風の危険が高い怪我をした場合は、たとえ傷が軽くても医療機関を受診してください。

破傷風の危険が高い怪我としては、錆びたくぎを踏む、傷口が土などで汚染されている、などがあります2)。

医療機関では「破傷風の予防は必要ないですか?」と聞いてください。傷の状況や、これまでの予防接種状況を確認し、必要がある場合は予防の注射を行います。お子さんなどで母子手帳がある場合は持参してもらえると参考になります。

以上です、ご参考になれば嬉しいです。それでは。

<参考文献>

1)国立感染症研究所感染症情報センター:IASR 病原微生物検出情報Vol.30 No.3(No.349)March 2009.

2) Centers for Disease Control (CDC). Tetanus–United States, 1985-1986. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 1987 Jul 31;36(29):477-81.

こちらの記事もおすすめ!