ある程度の経験を積むと、個人だけでなく組織のことも考えながら働く瞬間があると思います。
その「組織」の範囲は、診療科グループだったり、病院だったり、学会だったり・・・
ま、非常勤掛け持ちの私が言っても説得力がありませんが(^^;
組織についてはビジネス領域で様々な書籍が出版されていますが、異なる領域の本だとイメージがわかないのも事実。
今回は、医療領域の点で組織や病院経営について書かれた「組織論からみた病院経営」をご紹介します。
「組織論からみた病院経営」を読む
この本の著者の小倉 真治 先生は、岐阜大学大学院医学系研究科 救急・災害医学分野の教授で、2014年から岐阜大学医学部附属病院の病院長を務めていました。
私は小倉先生が教授に就任されてしばらくしてから、岐阜大学がある中部地方で働いていましたが、岐阜大学の救急・災害医学分野にたくさん人が集まっている様子を感じていました。
ITを使った救急隊との情報共有なシステムの構築など、救急診療にとどまらずいろいろな取り組みをされているのを学会などで見聞きしていました。
講習会などでお世話になる岐阜大学救急部の先生方とお話をする機会はあったのですが、「なんか岐阜大学の救急部すごいな、勢いがあるな」とは思うにとどまっていました。
今回、小倉 真治 先生が執筆したこの「組織論からみた病院経営」を読み、勢いがあるチームを作るには理論の裏付けがあるんだな、ということを知りました。
この書籍を読んで思ったこと
ふむふむ、と思うところはたくさんありました。
やはり、自分が医療の現場を知っているので、この課題にこういう風に取り組まれたんだな、ということが感覚で分かるので、他の分野の組織論の書籍よりもわかりやすかったです。
自分なりに覚えておきたい言葉を羅列します
- まず立ち位置の明確化とミッションの再認識が必要。自分の置かれた場所とミッションが明確になれば、方針も定まり人も集まる。
- テーマには到達点を明記する。ゴールを明確にしてから議論をすることで、紆余曲折してもゴールにはたどり着く。
- 病院経営では直接的ステークホルダーだけでなく、間接的ステークホルダーも意識する。間接的ステークホルダーが病院の評判を決める。
- 一致した認識と評価がなければただの動物の群れに過ぎない。そのためには命令と役割がポイント。
- 基本的な資源がなければモラルを要求できない。基本的資源がなければモチベーションが著しく低下する。
- 将来のビジョンを明確に描ける想像力が必要
様々な事例が紹介されているので、心にひっかかるポイントは人によって違うと思います。
この本をとっかりに、本の中で紹介されている書籍を読んで理解を深めるのいいかなーと思いました。
書誌情報
- タイトル:組織論からみた病院経営
- 著者:小倉 真治
- 出版年:2019/10/1
- 出版社:へるす出版
- 価格:1760円
改めて書籍購入リンクを貼っておきます。
以上、ご参考になればうれしいです。
それでは。