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一酸化炭素中毒を疑う患者さん、どこまで酸素を投与する?救急外来対応を考える

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先日、火災現場から救急搬送された患者さんにたいして「どこまで酸素投与を継続するか」で迷ったことがありました。

この機会なので、調べてみたのでそのまとめをご紹介します。

一酸化炭素中毒を疑う時

よくあるのは、火災現場から救急搬送をされたときです。

そのほか、練炭を焚いていた、非常用発電機を使っていた、などの状況で発生することがあります。

山歩き好きとしては、テントのなかで換気をせずに火をつかった調理をすると起きることがあるので注意が必要です。

どういう症状がでる?

軽い症状であれば、頭が痛い、気分が悪い、などの症状が出現します。

重症になると、意識を失い、死に至ることがあります。

また、一酸化炭素中毒は、急性期の症状が治まっても、間歇(かんけつ)型一酸化炭素中毒と呼び、遅れて精神神経障害が出現することがあります。

テントの中では煮炊きをしないこと、頭が痛いなどの症状が出たらすぐに換気をするようにしましょう。

一酸化炭素中毒の治療

まず酸素投与

一酸化炭素中毒の可能性を疑ったら、まず酸素投与を開始します。
酸素投与を行うことで、体からの一酸化炭素の排泄が促進されます。

最近自宅に持っている人が多い、パルスオキシメーターは一酸化炭素中毒かどうかを診断する際には参考になりません。

たとえ、パルスオキシメーターの値が98~100%と良い値であったとしても、酸素投与を開始します。

酸素の投与量は、「必要ないと判断されるまではリザーバーマスクで可能な限り多く」です。

いつまで酸素投与を継続するか

ここからが今回の本題です。

酸素投与を開始して、病院に到着します。

そのあと、どういう基準で、酸素投与の継続や中止を判断すればよいのでしょうか。

全身状態が不安定であったり、意識レベルが悪いなどの神経学的症状があれば入院し治療を受けることになります。

今回のお話の対象となるのは「全身状態もいいけど、いつまで酸素投与が必要なの?」という患者さんです。

基準その1:症状とCOHb値

病院に到着したら、問診と血液ガス検査をまず行いましょう。

問診で一酸化炭素中毒を疑う症状がなく
かつ
CoHb値が ≤ 3%-4% 非喫煙者
≤ 10% 喫煙者

であれば酸素投与を中止してもよい、といわれています。

基準その2:一酸化炭素の半減期を参考にする

多くの患者では1時間も酸素を投与すれば十分である、との報告があります。

酸素投与下での一酸化炭素の半減期は1時間で、酸素を投与しない状態(いわゆる室内気)での半減期は4~5時間です。

ジクロロメタンが発生源のCO中毒であれば6時間の酸素投与が必要(酸素を投与しない場合は13時間)

つまり、最大でも6時間、ということですね。

疑問:ずっと酸素マスクでないといけないの?

ネーザルハイフローという器具であれば、酸素マスクと同等の効果であったという論文があります。
これであれば水を飲んだり、食事をしたりできるので苦痛が軽減されていいですね、

高圧酸素療法の判断は?

また、より一酸化炭素を早く排泄する高圧酸素療法というものもあります。

こちらは、先述した間歇(かんけつ)型一酸化炭素中毒を予防する、という目的で行われることが多いです。

ただ、その効果についてはまだ結論が出ていません。

一般的には

  • 一酸化炭素に暴露してから6時間を超えてから開始しても効果は落ちる
  • ジクロロメタンが発生源のCO中毒であれば、半減期が長いので長い時間治療が必要になる可能性がある

と言われています。

高圧酸素療法が推奨される場合

また、次の患者さんでは様々な研究で高圧酸素療法が推奨されています。

  • 子供
  • 意識障害
  • 精神状態の変化などの神経学的所見異常が続いている
  • 妊婦
  • COHb値 > 25%
  • 一酸化炭素への長時間の暴露 > 24時間
  • 心血管機能障害がある
  • ジクロロメタンが発生源のCO中毒

日本では、高圧酸素療法が実施できる施設が少なく、その規模から高圧酸素療法が行われる頻度は低いというのが実感です。

以上、ご参考になればうれしいです。それでは。

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